復帰のタイミングで異動&降格することになり、改めて考える出産とキャリア。
保育園のお迎えコールから考える夫婦のキャリア。 - 旅するように学ぶ
なぜ出産後の女性は仕事へのやる気を失うのか
育休世代のジレンマにも書いてあったけれど、出産して子育てをしながら仕事もがんばろうと思っていた人が、やる気をなくしてしまったり、ぶらさがり(に見える)状態になってしまうのかということに、「負荷の少ない職種や部署」に「会社の配慮で」異動させられたり、「上司の配慮で」「責任ある仕事が任せてもらえない」ということがあると思う。つまり、「本人の気持ちとは別のところで」「やる気が起きない仕事」をすることになってしまうこと。と、書いてみると、これは、ワーキングマザーだけでなく、男性も女性もシングルも、障害の有無も、その他どんな人にも当てはまることだと思う。誰だって、自分の気持ちを聞かれずに、やりたいことと違う仕事をやるのにやる気は起きない。
これは、マネジメントの問題だと思う。だから、ワーキングマザーがもし復帰のタイミングで、こういう状況になってやる気を失っていたとしたら、、その会社では、きっと同じようにやる気を失っているワーキングマザー以外の人がたくさんいるだろうし、ワーキングマザーがやる気を失わず働けている会社は、それ以外の人だってやる気を失わず働けているのではないだろうか。
キャリアの意味付けをする
ただ、会社の中の人員配置や各社員のキャリアパスというものを考えた時、もちろん、全員が「希望する」「自分がやりたい」仕事や職種につけるとは限らない。もちろんワーキングマザーに限らず、だ。それにやりたい仕事に自分が向いているのかどうかというのは自分ではわからなかったりもするし、やりたいことど真ん中ではない仕事の経験が、まわりまわって、やりたい仕事につながっていくことだってたくさんあると思う。だから、大切なことは、その仕事を自分のキャリアや人生にどう意味づけるか、なんだと思う。
やりたい仕事ではないかもしれない、今までやってきた仕事とは違うかもしれない、でも、じゃあそこで何を掴みたいのか、そこでどんな貢献ができるのか、与えられた仕事のその先に、どんな仕事やキャリアを描きたいのか、そんなことを考え、自分なりに意味付けをすることで、前に進むことができる。
会社としてどう本人が前に進む支援をするのか
会社に視点を変えた時、全員が、本人の希望のタイミングで希望通りの職種や仕事につくことはとても難しいし、会社としての長期的な育成の観点からの本人の希望とは異なる配属を行うことはある。その人の能力や専門性をここで発揮してほしい、ということだってある。会社としての全体最適を考えた時に、やる気を失う配属になることだってある。それは仕方ない。
だからこそ、会社が、人事という機能や上司というマネジメントラインで行うべきことは、その人が自分なりに意味付けができるように支援することだと思う。その配属でどんな貢献をしてほしいのか、どんなことを得て、どんな成果を出して欲しいのか、それを本人にきちんと伝え、本人が納得行くまで考えるきっかけをつくること。
そんなことは会社がやることじゃなく、自分で考えて納得することだ、という意見もあるかもしれない。だけど、その手間を惜しんで、せっかくの人材がやる気を失ったまま働き続けていることの方が会社の大きな損失になる。どこの部署で働くという結論ではなく、配属のプロセスで、1人1人に向き合うこと。きっとそれが大切になる。
今度、部下が妊娠・復帰をすることになったら上司として、次にまた人事の仕事をするときには人事として、その人がそのキャリアに自分で意味付けをして前に進んでいけるように、そうやって向き合って対応していきたいなと思う。
「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)
- 作者: 中野円佳
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/09/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る