旅するように学ぶ

仕事のこと、夫婦のこと、子育てのこと。日々感じたことや学びをつれづれと。

「残業する理由」に主体性がないことが、日本の長時間労働の原因かもしれない。

こんなニュースがありました。

電通問題を機に、長時間労働についての話題も盛り上がっていますね。

 


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残業する理由が興味深いです。

2年間ほど残業しない働き方にチャレンジしてきた身としては、人が足りない足りないのはきっと今どこの会社もそうだし、仕事なんて予告されて渡されるものではないし、業務の繁忙がわかっているなら準備ができていいのではと思います。

 

改めてその理由をみて、勝手なこというと、なんていうか、すごく人のせい(会社のせい)感がすごい。。

 

とはいえ、自分自身が残業三昧な働き方をしていた頃を振り返ってみると、結局、残業する理由は会社のせいにしているだけで、どうしたら残業せず取り組めるかを主体的に考えられていなかったなと思います。反省。

 

有名なパーキンソンの法則では、仕事の量の膨張について言われています。時間制限なく働いている限り、仕事は増えるばかりで、人は足らないばかりです。。

第1法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
第2法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

 

 

長時間労働の問題は、根本的には社会や組織風土が変わらなければいけないと思っていますが、個人の時間を投資した個人のキャリアの文脈としては、労働時間について主体的に取り組まなくてはいけないと思うのです。

 

例えば残業の理由2位の「突発的に仕事が発生する」4位の「納期が短い」

これはほんとあるあるですね。

残業せず1日8時間の制限をもって働いていると、どちらもスケジュールが乱れる原因です。それもっと早く言ってよ、と思うこともよくあります。

 

でも、なにもできないかというとそういうわけではありません。

・そもそも突発的なタスクが発生することを見込んでバッファをつくる

 (バッファをつくるために仕事の標準化や進め方の見直しが必要ですが)

・周りのメンバー(特に上司ですが)のタスクやスケジュールをみて先回りして仕事を進める

・チーム全体のタスクを把握して、進捗を確認しリマインドする

・会議のスケジューリングは、リーダーシップを発揮してスケジュール設定を担当する 

 

などなど、できることはいろいろあります。

 

そして、突発的な仕事というのは実は突発ではないことも多いです。タスクオーナーがちょっと忘れててギリギリのタイミングで部下にふるとか、自分でやろうと思ってたけどできなそうだからギリギリで他の人に頼むとか、ありませんか?

 

当日セットされるMTGというのも同じで、だいたい思い付きか、〆切ギリギリにってとりあえずMTGしようみたいなものが多いです。

 

私も自分がワーキングマザーになってみて、こういう時間制限なく思い付きで仕事をしてしまっていて部署のメンバーに迷惑かけてしまっていたことに気がついた時には本当に愕然としました。当時のメンバーにはほんとにごめんなさいです。。

 

会社は、多くの時間制限のない人のルールで動いています。

だから、そのルールを理解した上で、どうしたら時間制限があってもうまく働いていけるかを考えなければいけません。

なんていうか、ふつうに残業して働いてる方が楽だと思ってしまうくらい、残業しないと決めてそれを守り続けることはなかなかタフなマインドがいるよなぁと思うこの今日この頃。

 

最近、個人的にやっている働き方の新しいチャレンジについては、またブログでも書いてみようと思います。

日経デュアルの記事を読んで考えた、働く親とキャリアの多様性のこと。

プチ炎上の日経デュアルの記事を読んでモヤモヤ。

なんでモヤモヤしたのだろうか改めて考えてみた。

 

記事はこちら。

 

それってほんとにハッピー?

家事分担のバランスが男女逆転しているケースとして、最近は「主夫」という形をとる男性も話題になったりしています。男性が家のことをメインで引き受けるというのも一つの選択肢。

 

とはいえ

「もっとやってくれ」って文句言われます。夫からは「まるで子どもが2人いるようだ。せめて自分のことは自分でやってください」って言われる始末で。

 というのは、またちょっと違うのかなと。

なんというか、「家事育児」はやはり、夫婦での合意形成と意思決定が大切だと私は思っていて、お互いが納得しあえていない状態というのは、長期的にはリスクがあるのではないかと思います。

 

立場を反対にしてみたら、せめて自分のことは自分でやってよと言ってるママと、0.5はやるからと言ってるパパというよくある構図になるので、不満が溜まることは目に見えています。

 

家事育児の役割や分担のベストプラクティスは家庭ごとに違います。

だからこそ、家庭ごとに自分たちが納得したよい形をみつける、やってみるのが大事だと思うんですよね。

 

 

日経デュアルの記事は、日経デュアルがスタートした時から大好きで、読んでいて勇気もらったことも多い。

でも、子どもが生まれてワーキングマザーになってみたら、なんとなく読まなくなってしまった。

 

なんていうか、男並みに働くキラキラした女性たちになりたいと思えなくなっていたり、自分のキャリアはすごく大切だけど、キャリアもあくまで人生の中のひとつの要素だと思うようになったことで、私はきっと日経デュアルのターゲット層ではなくなったんだろう。

 

今、まだまだ子育てしながら働きやすい社会になっているわけではない。

でも働き方の多様化は少しづつ生まれてきているし、キャリアも多様化してきている。

 

その中で、日経デュアルが理想とするのは、やっぱり組織の中で偉くなっていくというキャリアや、男社会で負けない働き方なんだと思う。

 

女性が働くようになり、男性と肩を並べることもできるようになった。子育てしながらも、男社会で勝つことをあきらめない。

それもひとつのキャリアの選択肢。

 

 

でも、それが難しかったりしんどかったりするから、女性は働くことをあきらめたり、キャリアをあきらめてきた。

 

多様なキャリアを示すことが、働く親たちを楽にさせるのではないかなぁと個人的には考える。

 


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クリスマスツリーを飾ってみたら、なぜか車も飾られていた。
 

ワーキングマザーには「働く意欲」よりも必要なものがある

 この前、ワーキングマザーの働く意欲について記事を書いた。

 

その時に「そもそも意欲って必要?」ということも少し書いたのだけど、その後に茂木健一郎さんのこんなブログを読んで、あぁなるほどなと思ったので書いてみたい。

 

lineblog.me

 

 

さまざまなことを続けるのに、必要なのは「熱意」や「やる気」ではなく、「習慣」であるということを今一度確認したい。

私は、朝起きたらすぐにその日にやるべきことを始めるけれども、別に、気合を入れて、「よしやるぞ」とやるわけではない。むしろ、気分としては「フラット」であり、「静かな湖」に近い。淡々と、やるべきことを、障害をできるだけなくして続けていく。そのような時に、熱意ややる気というものは、むしろ、邪魔になるように思う。

 

 

やる気がないと悩んでいる人たちの多くに必要なのは、実は「やる気」ではなく、淡々と続ける「習慣」だと思う。 

 

習慣の人、イチロー

これを読んで思い出したのは野球のイチロー選手だ。

イチロー選手のすごさは、もちろん努力して結果を出し続けていることなのだけど、やはり「習慣」にする力がずば抜けてあって、その積み重ねが今のイチロー選手をつくっている。

この試合のため、ではなくて、きっともっともっと長い目で野球選手としての高みを目指していると思うのだ。

 

私がずっと早起きできなかった理由

続けることというのは、実に難しい。

私は学生時代からずっと早起き生活に憧れて早起き(といっても6時とかだけど)にチャレンジしては何度も挫折した。

だけど子どもが生まれて生活を見直し、息子と一緒に9時過ぎに寝るようになったら6時なんて当たり前、目覚まし時計がなくても5時くらいに起きられることも増えた。

 

何が言いたいかというと、「早起き」もやる気ではなくて、仕事を終える時間を早くする習慣、体のつかれをためない習慣、早く布団に入る習慣、そんな日々の習慣の末に生まれた習慣だということ。

逆に生活の中に習慣として根付くとそれを崩すことの方が難しくなる。

日々静かに淡々と早起きをする、ただそれだけのこと。

 

でも、何度も早起きにチャレンジしていた昔の私は、目覚ましの回数を増やしたり、目覚まし時計を置く場所を布団から遠い場所にしてみたり、ただ気合いで早起きしようとしてうまくいかなかった。

 

今ならよくわかる。当時は夜遅くまで働いていて家に帰ってきた時はくったくっただった。寝るのも日付が回ってからだったから、そもそも私には憧れの早起きよりも睡眠時間が必要だったのだ。

そんなのうまくいきっこない。

 

気合いと習慣と仕事

きっと仕事も同じ。

ワーキングマザーになって一番変わったのは毎日限られた時間しか働けないからこそ、毎日ベストなパフォーマンスを発揮すること。

 

寝不足で午前中はちょっとのんびりペースにして午後からペースあげて残業して取り戻そうとか、今日はちょっと気分が乗らなかったから明日残業してやればいいやというわけにはいかない。

 

ペースをあげようと思ったお昼過ぎに、保育園からのお迎えコールがきて帰らなければいけないかもしれないし、今晩子どもが熱を出して明日は会社を休まなければいけなくなるかもしれない。

 

子どもが生まれてからは、仕事を先送りにすることはできないのだ。

 

会社にいる間、どの瞬間も少しでも仕事を前に進められるようにする。それが働く親のリスク管理的な姿勢なのだと思う。とはいえ、心も体も日々変化する。

 

長期的な視点でパフォーマンスを落とさないこと

常にパフォーマンスを発揮することは、つまりはパフォーマンスを落とさないようにすること。

 

パフォーマンスを落とさないためには、長期的な視野で仕事と自分のコンディションを考える必要がある。

 

睡眠時間をしっかりとる習慣も

寝る前にストレッチする習慣も

毎日その日のタスクを整理する習慣も

タスクにかかった時間を記録する習慣も

ルーチンのタスクを自動化したり標準化する習慣も

週末に1週間の振り返りをする習慣も

私にとっては、長期的にパフォーマンスを発揮し続けるための工夫なのだと思う。

 

 

今日も明日も明後日も、1ヶ月後も1年後も、よいパフォーマンスを発揮するために、必要な習慣はなんだろう?

 

今週末はそんなことを考えてみたい。

 


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 雪だるまー!と大興奮だった息子さん。

子どもが生まれたら「キャリア」は夫婦単位で考えることで最大化するかもしれない。

先日、どうしても行きたいセミナーがあって、仕事の休みを取り、息子の送り迎えを含むお世話を夫にお願いし、平日に日帰りで京都に行ってきました。

 

子どもが生まれると、仕事の出張でさえ自由が効かず、出張に行くにも夫のスケジュールを確認し、朝や夜に自分がいなくても大丈夫かを相談し、お願いをする。もしくは保育園の延長やベビーシッターなど外部のリソースを手配してやっと出張に行くことができます。

 

めんどくさいですね。でも、もしその出張が自分として行きたいものだったり、キャリアとして得たいものだった時、そのめんどくささを引き受けてでも得たいことをあきらめないことというのも大切だと思うのです。

 

子どもが生まれると、時間的・場所的な制限が発生します。

個人のキャリアとしてみると、制限があるために経験ができなかったり、機会が減ってしまうということが起こり得ます。

 

「キャリア」というとどうしても個人単位で考えがちですが、子どもが生まれたらキャリアは「夫婦」の単位で考えてみてもいいかもしれません。

 

夫100妻0でキャリアをつくるのではなく、50-50で捉えてみる。

 

欧州や北欧では、海外赴任や留学などのキャリアチェンジを夫婦で順番に譲り合うことが当たり前に語られることも多いですし、日常の中でも今週の何曜日は夫が行きたいセミナーに行き、何曜日は妻が会社の社内合宿で帰宅が遅くなる、というように意識的に自分のキャリアと相手のキャリアどちらも大切にお互いに応援しあういうことです。

 

プランドハップンスタンスセオリーの考え方で、それによって、キャリアが広がるということもあると思います。

ワーキングマザーのキャリアはプランドハップンスタンスセオリーが効く? - 旅するように学ぶ

 

それによって、夫婦どちらもキャリアを積むことができ、なにかの時のリスクヘッジにもなりますし、あきらめることなく働ける。共働きをする価値はそこにあると思うのです

 

夫婦でお互いのキャリアを応援しあうためには、まずお互いのキャリアのビジョンや希望を伝えあうことが大事。我が家は、定期的に夫婦会議で話したり、育休から復帰する時にはお互いの今後のキャリアについてもがっつり話し合いました。

育休からスムーズに職場復帰するために!復帰前に夫婦で話しておきたいこと①これからの働き方とキャリアのこと。 - 旅するように学ぶ

 

夜、京都から真っ暗な家に帰ってきたらお風呂に「ママおかえり」と、パパと息子からのメッセージがありました。


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家をあけて自分のために学ぶことは、親になるとさらにハードルがあがり、罪悪感すら感じてしまうこともあります。

 

でも、こうやって夫が温かく応援してくれるから私も夫のキャリアを応援できるのだと思います。いつもありがとう。

 

(20161125追記)

こんな記事を書いてたらまさに同じことを言っている記事がでてました。

 

母になって私の「働く意欲」は下がったのだろうか?

 先日、ワーキングマザー向けのあるアンケートに答えていたら、はて、これにはどう答えたらいいのだろうかと手がとまってしまう出来事がありました。

 

簡単に言うと

子どもが生まれて、あなたは働く意欲が下がりましたか?

というような質問で、あがったからさがったまで5段階くらいで答えるもの。

 

そもそも働く意欲ってなんだろう?

ママの働く意欲の話では、出産後に責任のない仕事に業務転換することで意欲がさがる、いわゆるマミートラックという現象があると言われています。

 

私自身、職場復帰するタイミングで特にやりたい仕事でもない繁忙期の少ない部署に異動になり、とてもがっかりした経験があります。数日間はへこんで退職が頭をよぎったりしましたが、今までの経験をいかせるはずと切り替えて勉強をして前向きに取り組むことができました。

 

「意欲」ってなんだろうと調べてみると、

 進んで何かをしようと思うこと。また、その心の働き。(コトバンク)

 ということ。

自分から勉強して、改善提案して取り組んでいた私は意欲がなかったわけではありません。

 

働く意欲と働く時間の関係

じゃあなんで私はアンケートで自信をもって「意欲はさがらなかった」と答えられなかったんだろう。

 

考えてみると、気持ちや姿勢としては今までと変わらず「よりよくなるように」という前向きな気持ちで仕事をしていたけれど、残業はまったくしなくなったし、息子の体調不良や保育園の行事の時は仕事を休み、働く時間は圧倒的に減っています。

 

周りからはコミットしているとは思われていないかもしれない、意欲がないと思われても仕方ないという気持ちはぬぐえない、そんな自信のなさが自分で意欲があると言い切れなかったのかもしれないと気がつきました。

 

そこにあるのは「働く意欲=時間的なコミット」という価値観。

仕事に意欲はあっても、時間的なコミットができないことで、会社の中ではなんとなく肩身がせまく感じてしまうことがあります。

 

そもそも働く意欲は必須なのだろうか?

 そしてふと思ったのが、働く意欲って必要なのかということ。

会社が「働く意欲=時間的なコミット」を求めている間は、子育てしながら意欲をもって働き、活躍するということは本当に高い壁になってしまいます。だから、時間ではなく成果をみること。

 

そして、個人のキャリアの観点から言えることは、自分のキャリアを会社任せにしないこと。職場復帰以外でも、意に沿わない配置転換というのは起こり得る出来事です。だからこそ、復帰前から自分の状況や働き方や仕事の希望をきちんと伝えることはとても大切だと思います。

 

仕事の意欲は優先順位とは別物 

 冒頭のアンケートに答えながら、私がだした結論は、仕事への意欲は変わらないけど、優先順位が変わったということでした。

 

仕事への意欲は変わらない。時間的な制限があることで、今の方が意欲的に仕事に取り組めるようになった。

でも、優先順位は変わった。妊娠する前は、責任があるから仕事を優先するべきだと思っていた。だけど、育休を通して自分がいなくても会社は回るという当たり前のことに気づいた。そして、子どもが生まれて家庭の優先順位はあがった。

 

会社よりも家庭が大事なのは、仕事に意欲がないという人もいるかもしれない。

でも、愛と同じように意欲という気持ちは、比較ではなく個別の対象について語られるべきであると思う。

 

仕事か家庭かの二択ではなく、仕事も家庭もどちらも意欲的に大切にしたい。

 

きっとそれが、今、働く多くの親たちの気持ちなのではないだろうか。

 

だから、今度また「出産して働く意欲は変わった?」と聞かれることがあったら、胸をはって「働く意欲も家庭を大切にする気持ちもどちらもすごく高まった」と答えたいなと思っている。

 


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 息子と一緒にハマっている「標本の本」。

京都大学の総合博物館の地下にある260万点もの非公開の標本たちがアートブックのようにデザインされて、理系じゃなくてもワクワク楽しめてとても楽しい1冊。

 

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

 

 

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